カテゴリー

Uncategorized

「早く知りたかった抗うつ薬は8割の患者に無意味!?

  1. HOME >
  2. Uncategorized >

「早く知りたかった抗うつ薬は8割の患者に無意味!?

2018年3月19日https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180314-OYTET50005/2/

読売新聞オンラインより。

うつ病の人が増えています。うつ病の治療薬である「抗うつ薬」も、たくさん使われるようになりました。ところが、8割の人には抗うつ薬は役に立たないといいます。一体どういうことでしょうか。

処方は急増…でも効果は限定的

以下転載。


 うつ病は、気分がひどく落ち込む(抑うつ)、好きなことでも興味がわかない、何事にも意欲が起きない、といった状態になる病気です。眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体的な症状も表れます。

 日本では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる新しい抗うつ薬が1999年に発売され、よく使われるようになりました。従来の薬に比べて副作用が少ないとされたためで、抗うつ薬の販売額は10年足らずの間に5倍以上に急増しました。うつ病で治療を受ける人も約100万人と、それまでの2・5倍に増えました。

 しかし、抗うつ薬の効果はそれほど大きくありません。

 2010年、米国ペンシルバニア大学の研究チームが、「うつ病の症状が軽いか中程度の場合、抗うつ薬には効果がみられない」と報告しました。この研究では、抗うつ薬を使った患者と、有効成分を含まない偽薬(プラセボ)を飲んだ患者の回復度を比較した6件の臨床試験データが解析されました。症状の重さによって、「軽症・中等症」「重症」「最重症」の3グループに分けたところ、軽症・中等症や重症のグループでは、抗うつ薬はプラセボに比べて患者の回復度に差がなかったのです。有効性が認められたのは、最重症のグループだけでした。

「効いているのは5人に1人」
 それ以前にも、抗うつ薬の効果が限定的なことを示す研究は少なくありませんでした。1995年には、米国の精神科医が、SSRIの一種セルトラリンと、プラセボを比較。セルトラリンでは、うつ症状が改善した人の割合は60%だったのに対し、プラセボでも42%の人が改善したと報告しました。実際に抗うつ薬が効いた割合は、プラセボとの差である20%足らずだったわけです。

 独協医科大学埼玉医療センターこころの診療科の井原裕教授は「抗うつ薬が本当に効いているのは、うつ病の5人に1人。残りの8割の人には、薬は無意味です」と言います。

学会のガイドラインに矛盾が

 しかし、実際には、軽症うつ病患者にも抗うつ薬はたくさん使われています。薬が過剰に使われる背景には、医学会の診療ガイドライン(指針)の問題もあります。

 日本うつ病学会の治療指針では、軽症の場合は「プラセボに対し確実に有効性を示しうる治療法はほとんど存在しない」と書かれ、薬物療法の効果を否定しています。軽症うつ病には抗うつ薬の効果がみられない、という海外の報告を踏まえた妥当な内容です。

 ところが、これとは矛盾した記述もあります。「薬物療法を導入することに消極的になりすぎれば、治療の時期を失して重症化を招く怖れがある」として、病気にかかった期間が長い場合や、睡眠や食欲の障害が重いといった場合に、「薬物療法を行うことが推奨される」と書かれています。「プラセボに比べて有効性を示す治療法はない」と言いながら、薬を勧めるのは不合理です。

薬より良い睡眠と運動を
 井原教授は「うつ病の治療は、薬物療法より生活習慣の改善の方が重要」と言います。中でもカギになるのが、睡眠不足の解消です。

 うつ病の人は多くの場合、睡眠時間が短く、睡眠のリズムも乱れています。そこで、まず「睡眠日誌」を使い、毎日、何時に眠り、何時に目覚めているかを記録してもらいます。

 睡眠時間は1日7~8時間が理想的とされています。それより短くても長くても、うつ病のリスクが高まるからです。うつ病だけでなく、糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクも高まり、死亡率も上昇します。

 井原教授は、1日7時間、1週間で50時間の睡眠をとることを勧めています。週50時間の睡眠が確保されれば、うつ病は良くなっていくといいます。

 良い睡眠をとるには、適度な運動も必要です。肉体疲労が起き、眠気が促されるからです。実践しやすく続けやすいのが歩くことで、1日7000歩が目安になります。

 また、アルコールは睡眠の質を低下させます。このため、井原教授は、週50時間睡眠、適度な運動(1日7000歩)、アルコールの減量(薬を服用中なら禁酒)を治療のポイントに挙げています。

 うつ病を治すのに最も大切なのは、自己回復力を高めることです。健康を作るのは薬ではなく、睡眠などの生活習慣であることを再確認したいですね。(田中秀一 読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)

-Uncategorized