南北融和しかみていない文在寅

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1.文大統領の東京オリンピック開会式出席報道

7月23日開幕の東京オリンピック控え、各国首脳がぽつぽつと出席表明を行っています。先日は、フランスのマクロン大統領が出席を表明しましたけれども、6月15日、読売新聞は、韓国の文在寅大統領も開幕式に出席する予定だと伝えました。

読売新聞によると、文在寅大統領は、東京オリンピックの開幕に合わせて来日する方向で、日本政府に打診。日本側も受け入れる方向だと報じました。

菅総理は、東京オリンピックに合わせて来日する外国首脳と「五輪外交」を展開し、五輪期間中にフランスのマクロン大統領など、来日する複数の外国首脳と個別の会談に応じる予定だと見られています。

その中で焦点のひとつとされているのは、韓国の文在寅大統領が来日し、日韓首脳会談が行われるかどうかです。

韓国側は関係改善の契機としたいようですけれども、日本側は元徴用工問題などの進展が見込めないことから慎重姿勢を崩していません。

現に、先日イギリスで行われた先進7ヶ国首脳会議で文大統領と同席した菅総理は会談には応ぜず、挨拶のみ。その後、同行記者団の取材に、元徴用工や慰安婦問題を挙げつつ、「国と国との約束が守られていない状況で、環境にはない」と突き放しています。

2.文在寅の本音は南北融和

日本との首脳会談の可能性が低いとみるや、韓国政府は徐々に軌道修正を図り始めました。

22日、イ・ホスン大統領府政策室長は、KBSラジオ『チェ・ギョンヨンの最強時事』に出演して「今回の五輪を契機に訪日を推進するかどうかは現在決まったことがないと承知している」と述べ、先週G7で日韓首脳会談が行われなかったことについて「韓国は日本との対話に開かれた姿勢で臨んでいるということをもう一度申し上げる……東京五輪は地理的に最も近い国で開かれる大会で、昨年一度延期されたため、さらに意味深い」とした自身の発言を修正しました。

更に翌23日には、韓国紙中央日報は東京オリンピック開会式に文在寅大統領ではなく黄熙(ファンヒ)・文化体育観光相が出席する方向で韓国政府が調整していると報じました。中央日報は政府高官の話として、文大統領が開会式に出席する可能性は「現段階でほとんどなくなった」とし、担当閣僚が出席するのは「政治とスポーツを分離して対応する韓国政府の原則に沿った決定だ」と伝えています。

G7で、日韓首脳会談が行われなかったことについて、韓国メディアは「首脳会談を日本が一方的にキャンセルした」と報じ、加藤勝信官房長官が「事実に反するのみならず、一方的な発信は極めて遺憾であり、直ちに韓国側に抗議をした」と完全否定しました。

これについて、16日、中央日報は、開催に積極的だったのは韓国側だったことを明かした上で、「韓国政府が外交慣例を破ってメディアに流す方式で公開したことは決して褒められた対応とはいえない」と批判しています。

首脳会談できないと日本のせいにし、首脳会談が出来るなら来日するが出来ないならしないとは、自分の都合だけしか考えていないことが丸わかりです。いくら国益優先としても露骨に過ぎます。

これらについて、龍谷大の李相哲教授は「文政権には南北関係を良好にしたいことしか頭にない。そのためG7や平和の象徴である五輪を利用してでも日本にすり寄ることで、日本の硬化した態度をなだめたいという狙いがある。韓国は来年の北京冬季五輪も利用して、北朝鮮と何らかの関係強化を図るだろう」との見解を示した。

つまり、文大統領は別に日韓関係を改善したい訳ではなく、北朝鮮のことだけを見ているという訳です。

日本政府関係者は「文氏が来ても首相はレセプションなどで顔を合わす程度になる」と予想し、別の関係者は「会談できるなら来るだろうが、できないなら来ないだろう」と指摘していたそうですけれども、どうやらその公算が大きそうです。

3.対日強硬策回帰も南北融和のため

G7首脳会談後、文政権の対日姿勢は再び硬化を始めました。

G7での日韓首脳会談が不発になったことについて、韓国側が「日本が一方的にキャンセルした」といい、日本側が「そのような事実はない」と反論すると、文大統領の再側近である共に民主党の尹建永(ユン・ゴンヨン)議員は、日本の態度を「小児病的態度」と批判しつつ「度量が大きく大胆に先に手を差し伸べる方が勝つ」と批判。さらに面談に応じなかった背景について「韓国と会うより韓国たたきが政治的利益ではないか」とし、「今回の機会に断固として癖を直す」などと嘯きました。

また、青瓦台の李哲熙(イ・チョルヒ)政務首席秘書官も「私が『このようなことをされても黙っていなければならないのか』と言ってもため息をつくだけで、感情を表に出せずに苦しんでいる」と述べ、これは日本政府が国内政治に利用しているのだと批判しました。

更に、国立外交院の金峻亨(キム・ジュンヒョン)院長は、日本が歴史問題について「1965年協定をそのまま受け入れろ、慰安婦合意をそのまま受け入れろ、強制徴用で後退しろという三つの先決条件を出してきた。これは完全に屈服を要求する極めて外交的無礼だ」とし、「韓国は『話をしよう、会おう』といっているのに、日本は難しい条件を出してきた」と激高しています。

この韓国対日強硬は、早速、慰安婦問題と元募集工(元徴用工)判決問題にも反映されています。

4月21日、ソウル中央地裁は「国際慣習法の国家免除原則に基づき、日本政府は訴訟の対象にはならない」と請求を却下する判決を言い渡し、5月7日には、徴用工に関し、日韓請求権協定に「『完全かつ最終的解決』『いかなる主張もすることはできない』という文言がある意味は、個人請求権の完全な消滅まではいかないが、韓国国民や日本や日本国民を相手に訴訟で権利を行使することは制限されるという意味で解釈することが妥当だ」とする判決を下しました。

ところが、6月9日、ソウル中央地裁は、韓国人元慰安婦12人の訴えを認めて日本政府に損害賠償の支払いを命じた今年1月のソウル中央地裁の判決を巡り、日本政府に対して韓国内にある資産の目録を開示するよう命じたことが明らかになりました。

これは4月の判決と真逆のものであり、要は、再び判決をひっくり返した訳です。

これらについて、武藤正敏・元駐韓国特命全権大使は、「今の文政権は過去の日韓合意を尊重するよりも、過去の合意を見直し、慰安婦や元徴用工の要求により近い内容に変えていこうということであり、要するに『ムービングゴールポスト』」での合意を狙っているということである」と述べています。

そして「韓国の言う交渉とは、韓国側の新たな要求をベースとした交渉である。一方、日本は仮に交渉するとしても、日韓の合意をいかに実現するかの交渉である。そこには大きなギャップがある」と指摘し、「韓国側が国際ルールに則った話し合いに戻らなければ日韓関係の修復はないだろう」と述べています。

全くその通りです。

南北融和の為には、その他の外交関係を無茶苦茶にすることも厭わない。あるいはそれすら見えていないのかもしれませんけれども、文政権は次の政権に大きな負債を残すことになるのではないかと思いますね。